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日本学術会議の庁舎=東京都港区

 日本学術会議の法人化に向け、政府が通常国会への提出をめざす新法案の概要が判明した。特殊法人を設立して国の機関から移行する時期を、来年10月とすることを盛り込む。新法人への財政支援は続けつつ、透明性を高めるためとして新たに首相任命の監事を置く。

 新法人の会員選考については、研究者による互選を維持した上で、その後の首相による任命はやめる。一方、首相が会員以外から任命する監事を新たに設け、業務や財務を監査する。独立性を保つとするが、学術会議の会員からは政府の関与が強まることへの懸念が根強い。

 法案では、6年分の活動計画を作るよう求め、年度ごとの実績評価も義務づける。政府は年間予算を今年度の約9.5億円から増やす方針で、来年度予算案に12億円を計上している。新法人への移行を進めるとしている。

 学術会議をめぐっては、2020年10月の改選のタイミングで当時の菅義偉首相が会員6人の任命を拒否。この問題をきっかけに改革の議論が始まり、有識者懇談会が昨年12月に法人化に向けた報告書をまとめた。

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